パンデミックの時代において、安全なサービスの提供とCX*(顧客体験)の向上を実現させる3つの方法

パンデミックの時代において、安全なサービスの提供とCX*(顧客体験)の向上を実現させる3つの方法

コンビニエンスストア, サービス業, スーパーマーケット, レストラン, 小売

安全かつ清潔なサービスの提供が強く求められる中、さまざまな業界で「顧客は対面でのサービスを望んでいるのか」という疑問の声が聞かれます。

SMGが最近行った調査では「(対面でのサービスを)望んでいる、ただし重要な条件がある」という結果でした。重要な条件とは、可能な限り安全性の高い方法でサービスを提供する、ということです。現在のコロナ禍の状況を見れば当たり前の条件ではありませんが、必ずしも容易に実現できるものではありません。

顧客が望む安全なサービスを提供するために、従業員はどのような行動をとればよいのでしょうか。その答えを見つける手がかりとして、CX(顧客体験)を構成する要素のうち、企業/ブランドが優先して行うべき3点をご紹介します。

1. 従業員が常に安全衛生対策のロールモデルとなる

従業員一人一人が企業を代表する存在です。新型コロナウイルスの影響で、顧客は従業員の一つ一つの動作に過敏になっています。たった一つの不注意(同僚とのちょっとしたおしゃべりのためにマスクを外すこと、多くの人が触った場所の拭き掃除をしないこと、など)が、企業に対する顧客の信用を長きにわたり傷つけることになります。

従業員の責任は重大です。レベルの高いサービスを提供して顧客のロイヤルティを獲得し維持できるかどうかは、従業員の肩にかかっています。顧客は、従業員のサービスを受けることで、満足度が上がり、再来店意向が高まり、購入金額が上がることが、SMGの調査で分かっています。これは現在のコロナ禍の環境下においても当てはまります。さらに、顧客は従業員と対話することで、対話がないときよりも大きな安心感と居心地の良さを感じるという調査結果も出ています。

従業員が安全のための手順に従って行動する姿(マスクの適切な着用、拭き掃除の実施、ソーシャルディスタンスの確保)を示すことで、顧客は従業員に対して信頼感を抱き、対話しようという気持ちになります。これに成功している企業では、安全指針の重要性を、従業員に対して継続的に強く訴えかけるべく、定期的に研修を実施し、最新の対策内容を分かりやすく伝え、建設的で前向きなフィードバックを頻繁に行っています。

2. 全社共通の一貫したCX(顧客体験)を提供するために、顧客にも責任感を持って行動してもらう

ルールに従わない顧客の来店は、どのような企業にも起こり得ることです。「顧客は常に正しい」という古くからの格言は、現在のコロナ禍では必ずしも正しいとは限りません。マスクの着用を拒否したり店舗内の定められた順路を守らない顧客が一人いるだけで、他の顧客や従業員の健康を危険にさらすことになりかねません。その上ルールに従わない顧客を許すという一貫性のない態度は、企業の信用を傷つけます。

SMGが行った食品スーパーに関する調査によると、顧客は来店時に他の顧客を介してコロナウイルスに感染することを非常に心配しています。また、店舗の中で最も危険を感じる場所として、ソーシャルディスタンスを保ちにくい通路や会計の列を挙げています。

弊社の調査データを詳細に調べた結果、顧客がマスクの不適切な着用を懸念する相手は、ほとんどの場合、従業員ではなく他の顧客であることも明らかになりました。このことは、上述した従業員によるマスクの適切な着用が重要でないということではなく、顧客のマスク着用に関して、企業が一貫性のある態度をとれていないケースが多いことを意味しています。

これが特に当てはまるのは、地域ごとに異なるコロナウイルス関連指針を採用している企業です。ブランドに対する一貫した体験価値の提供は、顧客ロイヤルティの重要な要素です。顧客が来店時に安心感を得られなければ、再来店意向が大幅に低下することを、調査結果が示しています。

企業全体でどのような対策を講じているのかを公表することが重要です。それにより、顧客は、企業に期待できることは何かを知り、店舗によって差のない、安全で一貫性のあるCX(顧客体験)を来店の度に享受できます。

3. カスタマー・ジャーニー**に沿って、安心・安全に関する課題に迅速に対応する

今回のパンデミックが教えてくれたことがあるとすれば、それは、私たちの生活環境は絶えず変化しているということです。今春はほとんどの業界の業務運営において環境変化への適応と迅速な対応が必要とされることでしょう。

レストラン業界では密を避けた非接触型サービスの提供方法を、小売業界では季節のイベントで増える買い物客を安全に受け入れる方法を考え出さなければなりません。また、遠隔医療へのニーズが高まっている医療従事者にはデジタル機器の活用が求められます。そして、電車・飛行機の代わりに車での旅行者の増加に伴い、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアは例年以上の準備が必要になりそうです。

こうした新たな課題は、企業にとって対応力と回復力を示すチャンスでもあります。企業は、さまざまなデジタルツールを駆使して最新の対策内容を積極的に公表し、全地域で統一された業務運営指針に基づき行動することで、顧客と従業員を守るために適切な措置を取ることができ、健康と安全を重視する姿勢を示すことができるのです。

SMGはこれらの改革のお手伝いをします

新型コロナウイルスがビジネスに与える影響とその変化を常に把握することは、企業にとって大きな負担になっていると思われます。しかし、この負担は適切なリソースとツール、そしてエクスペリエンス・マネジメント(XM***)のパートナーを得ることで軽減できます。また、これにより、常に変化する顧客のトレンドを先取りしその期待を上回るサービスを提供することが可能になります。

SMGでは、新型コロナウイルスの各段階における業界別のXM戦略実践ガイドを作成しています。このガイドは、企業が運用しているXMプログラムの進捗状況を把握し、従業員および顧客のニーズに対する優先順位付けの手助けとなるようデザインされています。XM戦略実践ガイドの詳細と無料ダウンロードはこちらから。

*CX (顧客体験): 購入する過程・使用する過程等における、顧客視点での一連の体験(Customer Experience)

**カスタマー・ジャーニー: 顧客が商品やサービスを知り、最終的に購買に至るプロセスでの行動や心理

***XM: 顧客と従業員のエクスペリエンス(経験)をオペレーションの改善に反映させる経営管理手法(Exprerience Management)

加藤順一 社長/マネージング・ディレクター