問題発生はカスタマーロイヤルティを高めるチャンス

問題発生はカスタマーロイヤルティを高めるチャンス

コンビニエンスストア, サービス業, スーパーマーケット, レストラン, 小売

カスタマーサービスの世界では、その始まりから終わりまで、円滑で何の問題もない顧客体験を提供することが重視されます。誰もがすぐにでも顧客を喜ばせたいと思っていることでしょう。ところが、誠意が伝わらないときもあります。だからと言ってパニックになったり、失敗したと思わないでください。なぜなら、適切に対処して技術をうまく利用することができたら、そこには好転するチャンスがあるからです。

そのためには、まず何をするかが大切です。顧客は的確な対応を期待しますが、それを実現するチャンスは多くありません。私たちは過去27年間、10億人以上に対し、カスタマーサービスの調査を行ってきました。その結果、問題解決に向けた極めて重要なインサイトや、事態が悪化したときにお客様の信頼とロイヤルティを取り戻すためにとるべき行動について、見えてきました。


問題を経験したからこそロイヤルカスタマーになる場合も

残念なことに、多くの企業は問題を解決することが得意ではありません。私たちの調査によると、問題を経験した顧客のうち、問題解決に対する満足度に「大変満足」と回答したのはわずか35%でした。しかし一方で問題解決方法に「大変満足」した顧客は、何の問題も経験しなかった顧客よりも、再来店意向が高いことがわかりました。

興味深いですね。つまり、問題解決能力に優れていれば、カスタマーロイヤルティを向上させることができるということです。何か悪いことが起きたとき(前述したとおり、こうした事態は珍しくありません)、顧客は的確な対応を期待します。言い換えれば、「災い転じて福となす」ことも不可能ではないのです。


問題解決の成功が将来の支出拡大につながる

再来店意向が高まることで、将来的な支出拡大のチャンスにつながります。例えば、小売業のクライアントが問題が発生した場合の財務的影響について調べたいときは、SMGの担当チームに6ヶ月間のロイヤルティカードのデータをアンケート調査結果と照らし合わせるよう依頼します。

私たちのフィナンシャル・リンケージ・アナリシス(財務実績との相関分析)によると、問題を経験したにもかかわらず再来店し100ドル以上支払った顧客の割合は、問題を経験しなかった顧客に比べて、その後6ヶ月間で減少しました。しかし、問題解決方法に「大変満足」した顧客は、単に「満足」しただけの顧客と比較すると、100ドル以上支払った割合が高くなりました。つまり、何らかの問題が発生した後に顧客を喜ばすことができたら、その顧客はさらに支出するようになり、「福」をもたらす可能性が広がるのです。


カスタマーフィードバックによる問題解決プロセスの向上

顧客の調査を一貫して行っている企業は、比較的簡単に問題を解決することができます。アンケートでは、問題が発生したときに店舗からの連絡を希望するかどうかを尋ねることができ、そうすることで店長が問題にすぐに対処できるようになります。効率的なアラート機能は、問題発生をカスタマーロイヤルティ向上のチャンスに変える手助けとなります。問題にすぐに反応し、問題解決のプロセスをまわすことで、迅速な解決が可能になるだけでなく、カスタマーエクスペリエンスを向上させることも可能になります。

多店舗展開する企業の場合、各店舗でカスタマーサービスに問題がないかどうかを把握することが大切です。もっと大事なのは、問題の対処法を理解することです。問題に的確に対処し、顧客とのやりとりを無事に終わらせることができたら、不快な経験をした顧客がロイヤルカスタマーに変わることもあるのです。

私たちが10億人と話して学んだ5つのことについて、さらに詳しく学ぶには、こちらのレポートをダウンロードしてご参照ください。

玉川篤史 | アジアパシフィック・マネージングディレクター